函館でレンタル傘が復活―。飲料大手のダイドードリンコ(大阪)は13日、函館市内で自動販売機の脇に傘を設置し、地域住民向けに無料で貸し出すサービスを始めた。道内初の取り組みで、首都圏などの鉄道会社の協力を得て、保管期限が過ぎた忘れ物の傘を再利用し、最大40台に備え付ける。
サービスは、自販機を活用した社会貢献活動として2015年に関西圏でスタートした。エリアを徐々に拡大し、現在は11都府県の約340台で展開。北海道は降雨日数が全国でも多く、年間通した実施に向けて積雪量が少ない道南を対象地域に加えた。
この日は、白鳥町17のパン店「ル・レーブ」前など市内5台の自販機にレンタル傘を設置。1カ所当たり7本を配備し、傘には同社のロゴマークが入った縦10センチ、横7センチのタグや「レンタル傘」と記したステッカーを取り付けた。急な雨などの際に誰でも持ち出し可能で、借りた自販機に返却するルール。31日までさらに35台への設置を進める。
傘の無料貸し出しを巡っては、今春解散した北海道新幹線新函館開業対策推進機構が昨年度、JR函館駅など市内の交通拠点6カ所でサービスを展開したが、9割の傘が返却されず、事業継続を断念した経緯がある。同社によると、大阪での返却率は約70%で、地元の飲食店やオフィスの中などに設置していることが、比較的高い確率を維持している要因だという。
傘の見回りは、自販機の商品を補充する担当者が行い、必要に応じて不足分を入れる。同社広報・CSRグループの梅垣真哉アシスタントマネジャーは「地域の方々に活用してもらい、事業をできるだけ長く継続したい」と話している。(山田大輔)