医師の処方箋がなくても、一部の医療用医薬品を購入することができる「かすみ園薬局」(函館市柏木町10、園芸センターかすみ園に隣接)が、4月1日にオープンする。同様の販売方法を行う薬局は函館では初めて。薬剤師の佐藤州広代表は「急な発症などで診察を受ける時間はないが、医薬品が必要な場合などに利用してもらえれば」と話している。
医薬品医療機器等法(旧薬事法)によると、医療用医薬品は処方箋によってのみ販売可能な「処方箋医薬品」と、その指定のない「そうでない医薬品」に二分される。このうち「そうでない」については、一般の調剤薬局でも販売することが認められている。
しかし、厚生労働省は「医療用医薬品は処方箋に基づく販売が原則」と都道府県や政令指定都市に通知しており、業界内では医療用医薬品を積極的に取り扱う動きは起きていない。このため国内で医療用医薬品を販売しているのは、かすみ園薬局を含め、全国に7店舗しかない。
全国チェーンの薬局勤務を経て、生まれ故郷の函館で薬局を立ち上げた佐藤代表(31)は、「仕事の都合で病院で診察を受ける機会がなかったり、土日や深夜などに急に常用の薬が必要になるなど、多様な状況にに対応した薬局が必要」と考え、医療用医薬品の扱いを決断。「道南では前例がなかったので認可の手続きには苦労した。利用者を会員登録制として詳細なカルテを作った上で、安全性に細心の注意を払って販売していく」と話す。このほか相談用の個室を設けるなど、プライバシーの保護にも配慮する。
同店では一般用医薬品の販売と医師の処方箋による調剤も行うが、営業時間を正午~午後8時、土日祝日も営業することにより、夜間帯や平日以外の利用者の利便性も高めた(木曜日が定休日)。
同店の利用には入会金500円と年会費1000円が必要だが、4月中はいずれも無料となる。問い合わせは同店(0138・51・3700)へ。(小川俊之)