函館の産学官が連携し、大型海藻の有効活用や産業化を図るため「海藻活用研究会」(会長・安井肇北大大学院水産科学研究院長)が発足した。近年、海のスーパーフードとして注目される函館産アカモク(褐藻)を使った粉末の食品原料化を目指す。年内をめどに、商品を発売する予定だ。
設立は今月1日。函館は、海藻・マリンバイオ研究では世界トップを走る先進地。ガゴメコンブ製品開発などで地域経済に大きな効果をもたらした産学官連携の「函館マリンバイオクラスター」は、事業終了後も研究開発は続いており、今度は企業を中心に海藻の有効活用や事業化に関する取り組みを進める。当面はアカモクとガゴメを研究テーマに据える。
アカモクの粉末を使うことによって、うま味を増幅させたり、減塩させたり、高濃度化したフコキサンチンによる抗メタボリックシンドローム、血糖低下作用が期待できるという。
メンバーは7人で、副会長に宮下和夫北大大学院水産科学研究院副院長、理事に布村重樹ノース技研社長ら4人、監事に函館地域産業振興財団の吉野博之研究開発部長を据えた。
理事になった「からだサポート研究所」(本社京都)はアークレイ(同)のグループ企業で、函館市臨海研究所(大町)に研究室を構え、2015年から函館で海藻の研究を始め、今後アカモク粉末のサプリメントや食品への活用を展開する。今回の商品の販売窓口もアークレイが担う計画だ。4月にはキックオフセミナーを函館で開き、賛同者を増やす考え。
アカモクは、北海道(東部を除く)から日本全土の浅海に繁茂。成長すると4~5メートルの長さになる。道南が北限とされ、函館でも根崎や恵山、入舟などに分布しているが、食習慣はない。秋田では「ギバサ」と呼ばれ食されており、三陸地方でも海藻商品として販売されている。粉末は存在するが、フコキサンチンを高濃度化したものはない。
吉野部長は「函館のきれいな環境で育った海藻は商品化の際に優位性がある」と強調している。(山崎大和)