今年9月末まで84年間船舶の安全な航海を支えた、函館港中央埠頭(ふとう)南船だまりの防波堤灯台の撤去作業が18日に行われた。民間業者がクレーンで丁寧に吊り上げ、「長年の功績をたたえたい」と工事の様子を函館海上保安部署員が見守った。
この灯台は1932(昭和7)年4月7日に緑色光を示す航路標識で点灯。49年に道庁の管理から函館海保に移管、98年からは太陽電池によるLED発光を搭載した頑丈なFRP製の灯台として船舶の道案内を務めてきた。
港内の防波堤灯台では最古で、一帯の港湾整備が進んで同埠頭の利用が減り、地域関係者と維持管理の合理化を協議する中で廃止を決めた。
撤去作業では高さ4・8メートル、直径65センチの根元付近を電動カッターで切り、作業用クレーンで台船に引き揚げた。灯台の今後の活用はなく、解体する。
函館海保交通課の下川部重徳・主任航行管理官(52)は「灯台としての役目を無事終えられたことにほっとした気持ちと、日ごろから保守点検をしてきたのでさびしい思いもある」と話していた。(田中陽介)