愛犬家たちを誘って写真の勉強会を始めた。犬も連れてお茶を飲みながら、スマホ片手に気軽なレッスン…と思っていたら、皆さん素晴らしいカメラをお持ちで仰天した。
立派なカメラを使いこなすのは難しいらしく、次から次へと先生に質問。連れてきた犬の写真を撮る時間はなくなってしまったが、私には「気に入った1枚はちゃんとプリントして飾ることです」という先生の言葉が印象的だった。デジカメ、スマホ時代とともに、だれもが写真家になってしまった。
特に女性。ランチに行った先でパシャ。弁当を作ってはパシャ。子供や犬をパシャ。所構わず撮ることは時には無礼なのに、お構いなしに撮っておきながら、インスタグラムやフェイスブックに投稿することもなく、撮るだけで満足する人のなんと多いことか。フィルム時代では考えられない。失敗しても消せばいい。見たいときにはスマホで探せる。便利な時代にはなったが、被写体をしっかり見て最高の一枚を撮ろうという意識はなくなった。私も例外ではない。
これは写真だけの問題ではないのではないか。使い捨てや、壊れても惜しくない安い商品に慣れてきた私たちは、モノを選ぶ目を養ったり、選んだものを大切にする気持ちを忘れつつあるのではないか。そして、ネットで何でも学べる時代になった気がしていたが、直接カメラに触れ、画面を見ながらご指導いただくことが、いかに重要か痛感した時間でもあった。いい勉強をしたと私は思った。(生活デザイナー)