応援団に歓喜広がる―。リオデジャネイロの辻選手にエールを送ろうと、函館市内で行われたパブリックビューイングには多くの人たちが集まった。辻選手の両親、正樹さん、栄子さんも会場で試合の行方を見守り、メダル獲得の瞬間には喜びを爆発させた。
世界ランキング3位で予選も3位通過とメダルの期待が高まった400メートル。父の正樹さんと母の栄子さんはうちわなどの応援グッズを握り締めてスクリーンに映し出される娘の雄姿に見入った。
スタートの号砲が鳴ると、娘の名前を呼び健闘を祈り続けた。2位に続いて3番手で辻選手が画面に映し出されると、場内には悲鳴にも似た歓声が上がった。辻選手がそのままゴールに突入すると、正樹さんは席から立ち上がって「良く頑張った」と大きな声を上げた。栄子さんは「やったね」と目に涙を浮かべた。
栄子さんは本番前、緊張する娘の気持ちを和らげようと、函館で応援する人たちの個人メッセージ動画を撮影し送信した。馴染みの顔ぶれにほっとしたのか、「ママの撮り方変」とだけ返事があったという。栄子さんは「見てリラックスできたみたい」と笑う。
ハンドボールから陸上に転向する際には大きな葛藤もあり、正樹さんは「パラリンピックに抵抗があったようだが気持ちを切り替えてここまで来られた。誇りに思う」と感慨深げだ。
残す200メートルについては「頑張って思い切り楽しんで」とエール。早くも次回の東京開催のパラリンピック出場も期待され、正樹さんは「(出場が決まれば)絶対応援に行きたい」と夢を膨らませていた。