臥牛山5月30日・許せぬヘイトスピーチ
小学生のころ、村はずれに住んでいた朝鮮人の子どもに「汚い、学校に来るな」「お前の母さんデベソ」とからかったものだ。70年も前のことだが、今思えばヘイトスピーチ(憎悪表現)だった▼こんな屈辱的な差別言動は、とっくに日本から消えていると思ったが、4年ほど前からヘイトスピーチが顕在化。在日韓国・朝鮮人らを標的にしたデモが絶えず、年に300件が確認されているという▼「朝鮮人を日本からたたき出せ」など、聞くに堪えない掛け声を上げながら集団でヘイトデモ。他国出身であるだけの理由で誹謗(ひぼう)中傷する言葉を浴びせるのは、常識のない恥ずべき行為▼差別意識を助長する目的で公然と生命や身体などに危害を加えたり、地域社会からの排除をあおる不当な差別的言動を抑制するヘイトスピーチ対策法がやっと成立した。保護対象は適法に居住する日本以外の出身者や子孫▼国と地方自治体に相談体制の整備や差別解消の教育活動などを求めている。特定の人種や国籍、宗教などに差別意識を持たず、激しい言葉で憎しみを表現しないよう、道徳の授業などで教えることも必要か。不法滞在外国人の保護対策、ツイッターによる憎悪防止策も欠かせない。(M)