臥牛山4月28日・俯瞰で見えるもの
「俯瞰(ふかん)で物事を見ろ」。若かりし頃、先輩からこんなアドバイスをよく頂戴した。目の前の事象だけを見るのではなく、全体像を頭に入れて見なさい―という趣旨だ。言葉の持つ本来の意味「高いところから見下ろす」ことで、さまざまな問題に気づく場合がある▼五稜郭公園のサクラが26日に満開を迎えた。タワーから眺めると、ピンク色に染まった花が等間隔で並ぶ光景に圧倒されるが、昨年までは一つ問題点があった▼ジンギスカンセットを貸し出す場所でブルーシートが敷かれており、昨年たまたま傍聴した市議会で「青さが目立つ」として改善を求める質問があった。市の答弁は木で鼻をくくったような内容だっただけに小欄でも取り上げたが、27日に公園を通りがかると、シートが緑色に変更されていた▼木々や地面の色とマッチし、タワーから見ても違和感がなかった。市民の声に耳を傾け、決して安くはないお金をかけてシートを整備した業者に、改めて敬意を表したい▼函館観光はよく「素材の磨き上げができていない」との指摘が目立つが、ちょっとした気づきをもとに工夫を施すことでイメージも質も上げられる。目の前の問題に行き詰まったら、俯瞰してみるのも悪くない。(C)