悲惨な事故を一つでも無くしたい―。道警函館方面本部函館機動警察隊白バイ小隊に、北斗市七重浜出身の月館由佳(よしか)巡査長(27)が1日付で着任した。女性の白バイ隊員が道警本部(札幌)以外に配属されるのは初めて。訓練で治安維持に励む真摯(しんし)な姿が評価された。本格的な交通取り締まり業務も本年度からで「古里での任務は光栄。一層の交通安全のために尽力したい」と意気込んでいる。
月館さんは、旧函館北高校(現市立函館高校)最後の卒業生で、2007年に道警入り。中学生のときに箱根駅伝の白バイの先導姿に目を奪われ「かっこいいと憧れて警察官を志した」という。
札幌で交番勤務や広報活動のカラーガード隊、交通機動隊を経て、12年4月から白バイ隊員に。男性との体力差を補うための走り込みや筋トレのほか、休日も自主訓練を重ねた。午前3時半ごろからの朝練習など「家に帰るのは寝るためだけだった」と振り返る。
1300ccの白バイは総重量300キロ。猛訓練での転倒による手足のすり傷やあざなどは〝勲章〟で、「自分の命を守れないと誰かの命を救うこともできない」と歯を食いしばってきた。「一度覚悟を決めたら最後まであきらめるな」という両親の言葉も心の支えになり、13年から3年連続で「全国白バイ安全運転競技大会」に道警代表で出場した。
昨年は女性白バイ隊員として初めて北海道マラソンの先導も務めた。危険を伴う任務を心配する両親を気遣い「テレビで自分の姿を見てもらえて、少しは安心してもらえたかな」と優しい表情を浮かべる。
着任早々、函館市内の啓発活動で新入学児童の交通安全を見守った。函館機動警察隊の箱崎和好副隊長は「治安維持はもちろん、警察官を目指す子どもや学生らの憧れの的にもなってもらいたい」と期待している。(田中陽介)