臥牛山3月30日・待機児童
分が悪くなると動く。人間社会にはよくあることだが、こと国政に関わることとなると話は別。そう受け止められても仕方ないのが保育園などの待機児童の解消対策。政府の対応が急に加速し始めた▼発端は2月15日の匿名のブログ。あの「保育園落ちた日本死ね」である。入園がままならず、落胆した感情が表に出たのだろうが、それが国会の衆院予算委で公に取り上げられたのは2週間後だった▼「待機」の両翼は幼児の保育園とお年寄りの特養と言われるが、幼児の「待機」は女性の社会参加の足かせに。働くにも(子どもを)預ける所がなければ働けない。都会で不足が社会問題化して久しい。なのに…▼安倍首相の国会答弁が物議を醸した。「匿名である以上、実際本当かどうか確認のしようがない」。ネット上で批判の渦となり、慌てたのが政府与党。風当たりは強く、なんとも分が悪い。7月には参院選を控える。案の定、野党は争点にしようとしている▼急ぎ対策を迫られた安倍首相が指示したのが小規模施設の定員を増やすなどの規制緩和。これで待機状況がどれだけ改善されるか定かでないが、分が悪いと思わせ、対策へと動かした…いつの時代も国民の声は侮れない。(A)