函館市教委は2月29日、入園者の減少が著しい市立はこだて幼稚園(千歳町15)を2019年3月末で廃園とする考えを明らかにした。本年度施行の子ども・子育て支援新制度に移行した私立と比較し、安価だった保育料の差がなくなったことや、保育所の機能を併せ持つ認定子ども園の増加などにより、幼稚園のみの同園の運営意義が希薄化していると判断。市教委は7月ごろまでに方向性を固める見通しだ。
同日に発足した「市立幼稚園のあり方検討協議会」(会長・鳴海裕市小学校長会研究部長)で説明した。
市は行財政改革プラン(12~16年度)の一環で、今後の市立幼稚園の在り方を検討。13年度には「存廃や民営化も含めて検討する」と方向性を示していた。
市立幼稚園は現在、はこだてと戸井(小安町523)の2園。はこだての本年度(5月1日現在)の園児数は定員100人に対して32人。市立2園体制になった09年度(同)の95人以降、毎年大幅な減少を続けている。本年度の市内幼稚園在園児3241人に対し、市立が占める割合は1・4%で、新年度のはこだての入園予定者も28人にとどまる。
市立は新制度への移行が義務付けられ、保育料を園ごとに定める形から保護者の所得に応じて決定することになった。私立も任意であるが移行でき、保護者が市立を選ぶ上で重要な判断基準の一つであった保育料の優位性を損失した。今後も移行する私立は増える見通しだ。
会合では「私立は子育て支援の考え方から預かり保育などを推進してきた」「財政難の中で、私立と同じ土俵に立つため体制を作り直すのはかなり厳しいのでは」といった意見が上がり、次回の会合で方向性をまとめることにした。(蝦名達也)