臥牛山2月19日・アッカンベー「重力波」
相手に向かって下まぶたを下げ、赤い部分を出し、舌を出すアッカンベー。アインシュタインといえば相対性理論よりも、72歳の誕生日に撮ったアッカンベーの写真が強烈に残っている▼ベロ出しのポーズをとる偉い学者は珍しく、本人もお気に入りで9枚も焼き増しした。ユーモアたっぷり、人間的余裕を持った学者だからこそ、難しい理論の発想が生まれた。100年前に予言した重力波の観測に初めて成功したという▼物体が動くと周りの時空がゆがみ、光の速さでさざ波のように伝わっていくのが重力波。米大学などのチームが観測したのは、13億光年も向こうで 2つのブラックホールがお互いの周りを回りながら合体した時の波だとか▼宇宙を伝わるさざ波は「天才が残した最後の宿題」とされてきた。日本でも、飛騨市の地下に重力波をとらえる観測装置を建設中。遠方の天体からの重力波をとらえれば、宇宙の初期の姿など天空の秘密が解けるという▼重力波は、人が動いても発生するようだ。軽はずみな行動が周囲の人の心にさざ波を立てる。妻の監視を逃がれ、さざ波は立たないと思っていたイクメン国会議員が“不倫のさざ波”で辞職。携帯にもアッカンベーの絵文字がある。(M)