臥牛山1月30日・北海道新幹線の「旅情」
東北新幹線に乗ると、新青森を出発して岩手県に入る際、車窓に広大な水田の風景が広がる。仙台まで来ればビルが乱立する都会の風景。栃木や埼玉に差し掛かれば関東平野の平坦さを感じとることができる。車窓から流れる風景が鉄道の旅の楽しみ▼28日、北海道新幹線の試乗会に参加してきた。H5系車両は快適の一言。新函館北斗駅を静かに発車し、降雪のため最高速度を210キロに落としながらも、木古内到着までわずか13分の速さ。車内は揺れもなく、東京までの約4時間も〝耐えられる〟長さと感じた▼北海道新幹線の見どころは雄大な自然。函館山、さらには津軽海峡も眺められるポイントがある。最短距離を走る必要上、トンネルの多さは仕方のない面もあるが、防音壁の高さにはさすがに閉口した▼地上を走行中も〝絶妙なあんばい〟で風景を遮ってしまうのだから。「ポイント」と前述したのは、一部個所でしか風景を眺めることができないためだ。スピードを手に入れた分、鉄道の旅の楽しさが半減したような印象▼それは単なるわがままと言われてはそれまでだが、せっかくの新幹線。もっと旅情を感じさせる工夫を随所にちりばめる努力があっても良かったのでは。(C)