函館市は、来年度に最終年度を迎える市水産振興計画の次期計画について、計画期間を現行の10年間から5年間に短縮する考えを示した。海水温の上昇に伴う漁業環境の変化をはじめ、従事者の高齢化、後継者対策など社会情勢を含めた変化に迅速に対応するため。各種対策をはじめ、市国際水産・海洋総合研究センターなど研究機関との連携などを盛り込み、10月をめどに計画を策定する。
昨年12月下旬に市水産物地方卸売市場で開かれた市水産振興連絡協議会で市農林水産部が示した。協議会は委員改選後、初の会議で、会長に北大大学院水産科学研究院の木村暢夫教授を再任した。
2004年12月の市町村合併で、函館は全国有数の水産都市となり、現計画は06年度に07~16年度を計画期間として策定。漁業経営体数や漁業生産量、生産額の目標値を定め、計画の106事業のうち、昨年度までに計95の事業を展開した(一部実施を含む)。ただ、近年は養殖コンブの芽落ちや脱落、イカの不漁、ブリなど暖流系魚種の回遊など、近海の自然環境は急激に変化するなど、新たな課題も浮上してる。
市は次期計画で取り組むべき課題を▽漁業者の減少・後継者不足▽高齢化・労働力不足▽漁獲量・生産量の低下▽需要、価格の低下▽環境の変化に伴う新たな課題の発生-の5点に集約。各種施策を新計画に盛り込む考えだ。
会議では、市内各漁協組合長からは、高齢化と後継者不足への懸念が続出。労働力に見合うだけの安定した収入や若年世代への支援の充実などの課題が挙がった。木村教授は、海洋環境の変化について「資源の問題では私たちも予測ができない変化がこの何年かで起きている。確実に温暖化が進行している」と問題を提起した。(今井正一)