函館市はこのほど、2014年度の財務書類を公表した。市の財務状況をまとめた報告書で、普通会計ベースの純資産は2122億4600万円(市民1人当たり約79万円=昨年3月末現在)と、前年度から約35億円増加した。市財政課は純資産について「函館アリーナなど、全体の建設事業費が増加したことが大きな要因」とする。
06年に総務省が示した指針を受け、毎年算出。公会計に企業会計の考え方を取り入れ、普通会計ベースの市の保有財産と、その財産をどの財源で賄ったかを示す「賃借対照表」、資産形成に結び付かない行政サービスの経費と、直接対価として得られた財源を対比させた「行政コスト計算書」など、4種類の財務書類を作成した。
基金や出資金などの金融資産や、道路、教育施設など有形固定資産を含む市の総資産は、普通会計ベースで前年度比約35億円増の3826億7300万円(同142万円)。将来世代が負担する負債額は同比100万円減の1704億2700万円で、87%を地方債が占める。資産のうち、市民の持ち分割合を示す純資産比率は55・5%で、前年度から0・4ポイント増加した。
企業会計や第三セクターなどを加えた連結ベースの総資産は、同比366億円減の5799億5200万円。企業会計の基準見直しにより、固定資産の減価償却制度の変更や退職手当引当金の計上があったため、前年度に比べ資産は減少、負債が47億円増加したことなどが影響した。
また、行政コストは1096億5900万円で、前年度から約23億円の増加。同課は「社会保障の増加に加え、昨年4月からの消費増税による庁舎のランニングコスト増などが影響した」と説明している。
これらの事務書類を活用した分析のうち、土地以外の有形固定資産に関する資産老朽化比率は前年度比0・9ポイント増の48・9%で、市内各施設の老朽化が進んでいることがみて取れる。(蝦名達也)