臥牛山12月21日・橋下劇場閉幕
政治の場はよく劇場に例えられる。国会では“小泉劇場”と言われた時代があったが、それに勝るとも劣らず注目を集めたのが大阪市の“橋下劇場”。府知事、市長と駆け足の8年、任期を終える形で自ら幕を下ろした▼本業は弁護士。辛口のコメンテーターなどとして名をはせ、政治に転じて大阪府知事に。妥協なき政治姿勢がまず矛先を向けたのが財政再建。市町村長の批判を受けながらも大幅な予算削減を打ち出し、職員とも厳しく向き合った▼任期中、歯に衣を着せない発言は数え切れず、それはメディアにも向けられた。時には脱線もしたが、常に注目を集める立ち位置に。政策として打ち出した極めつけは、府と市との二重行政の解消…▼後に全国の関心を集めた大阪都構想となる。その実現に政治生命を懸け、住民投票まで進めたものの、わずか一万票余の差とはいえ否定された。退任に悔いが残るはずと思いきや、最後の言葉は「持てる力は全部出し切った」▼評価は分かれる。ただ、短期間に国政政党を立ち上げ、地方から中央を動かそうとした実績は大。硬直化した政治、行政に一石を投じ、身近な存在にした功績も。橋下路線は続くのか、しばらく大阪から目を離せない。(A)