臥牛山12月18日・軽減税率決定
消費税を10%に引き上げる際(2017年4月)に導入する軽減税率をめぐる与党協議が大枠合意した。生鮮食品に限定しようとした自民が公明に全面譲歩した形での政治決着。それが透けて見え何かすっきりしない▼自民の対応にブレがあった。4000億円限度説に固執していた姿勢がなぜ揺らぎ、どこへいったのか。減収分の手当てがついたならともかくだが▼合意内容は加工食品まで対象を広げた「酒類と外食を除く食品全般」。さすがに高所得層がより恩恵を受けるとされる外食は外したが、それでも税収減は1兆円もの規模。当初の2・5倍とあっては、常識的にはまとまる話ではない▼しかも税収減分を補う財源は「2016年度末までに恒久財源を確保し、財政健全化目標は堅持する」として先送りで、大前提を欠いた政策決定にほかならない。背景に重要法案の貸し借り、参院選の選挙協力と、勘繰られる理由もそこにある▼消費税は社会保障を安定させるための財源確保が目的。軽減税率を導入したからといって、社会保障にいささかも影響させてはならない。故に高度な政治判断だったと言えなくもないが、そこには政治の信頼が重くのしかかっている。(A)