函館市民映画館シネマアイリス(本町22)の菅原和博館長は11日、開館20周年を迎える来年に、函館出身の作家・故佐藤泰志原作の新作映画を撮影する構想があることを明らかにした。
同館はこれまでに実行委員会形式で市民から制作費などの協力を募り、佐藤原作の映画「海炭市叙景」(熊切和嘉監督)「そこのみにて光輝く」(呉美保監督)を企画・製作。「そこのみにて―」は第38回モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞するなど、高い評価を受けている。
今夏は市内で、函館3部作の締めくくりとされる「オーバー・フェンス」(山下敦弘監督)のロケを敢行。映画は来年9月に全国に公開される予定だ。
菅原さんは新作映画について「3部作を撮ったことで、もう1本撮れるという手応えを感じた」とした上で、脚本を佐藤の作品から選び、若手の監督を起用する考え。「才能のある人を見出したい。これからの映画界を支えていくような監督やスタッフと映画を作りたい」と意気込んでいる。
開館20周年記念となる新作について、菅原さんは「海炭市叙景を作った時の原点に立ち返り、映画作りの初心を再び取り戻すような作品を作りたい」と話す。「実現すれば佐藤映画色や函館色、シネマアイリス色の強い作品になる。これから準備を進めていきたい」と抱負を語った。
(半澤孝平)