函館市は10日、医療、福祉分野の人材育成に向け、公立はこだて未来大学を念頭に市内に医療系学部設置の可能性を検討する考えを明らかにした。看護師やリハビリテーション専門職らの需要が高まる中で、養成機関の設置が人材確保や若年層の流出抑制にもつながるなどと判断。市は「看護系大学への進学者動向や卒業後のニーズ把握、既存の看護師養成所へのヒアリングなど、実現の可能性を探りたい」としている。
第4回定例市議会一般質問で、斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)、池亀睦子氏(公明党)がそれぞれ質問した。
看護師養成機関は市内に複数あるが、看護学科設置大学への進学をはじめ、理学療法士、作業療法士ら専門資格取得を希望した場合、希望者は市外への転居を余儀なくされる。市内にこれらの養成機関を設置することで、地域での専門職の確保、人口流出の抑制と他地域からの人材確保、進学に伴う保護者負担の軽減などの利点を挙げた。
新大学の開設や既存私立大学への増設、誘致など複数の可能性がある中で、未来大への学部増設について、種田貴司企画部長は「大学新設に比べ、国への認可手続きが比較的短期間で済む。既存学部との連携により、IT化に対応できる医療系人材の養成、ITと医療の融合による新たな取り組み、大学の魅力向上が考えられる」と述べた。
一方、国が11月末に千葉県成田市内に医学部新設を正式に認めたことにかかわり、工藤篤氏(市民クラブ)は医学部誘致の検討状況をただした。市は「新たな医学部を認める動きはない。状況が変化し、可能性を見いだせる場合には対応したい」とした。
(今井正一)