臥牛山12月7日・なぜ「障壁」のレッテル
一生懸命頑張ってきたつもりでも、終わってみたら「まだまだ」と感じることはある。自信満々で上司に報告しても叱りを受ける。自分を伸ばすための厳しい評価と受け止めるが、ただ、がく然とすることもある▼総延長約54キロ、本州からトンネル工事の職人が福島町にやって来た時は町民あげての大歓迎だった。延べ約1400万人に上る作業員が汗を流し、殉職者は34人。24年という難工事に、苦労や悲しみを心に秘め、青函トンネルが貫通した▼前人未到の工事は物流を便利にした。新鮮な農産物を関東へ大量に運ぶことが可能になった。道内の農業に与えたプラス効果は絶大。だが、そのトンネルは今「時間短縮の障壁」とされている▼北海道新幹線の最高速度は時速260キロだが、青函トンネルを含む約82キロの在来線との共有区間では、時速140キロに制限される。これが原因で、新函館北斗駅-東京間の所要時間は3時間台を実現できない▼安全運転を最優先とするJR北海道の姿勢を否定することはできないが、自分たちの苦労が「障壁」と扱われたトンネルマンや、青函連絡船の船員の気持ちは…。中旬にはダイヤも発表される。夢を運ぶ新幹線の利用戦略が問われる(R)。