函館市は旧北海道庁函館支庁庁舎(元町公園内)の市写真歴史館を本年度限りで廃止する方針を示した入館者数が伸び悩み、赤字も続いているためで、第4回定例市議会に同館の条例廃止案を提出する
旧函館支庁庁舎は1909(明治42)年建設の木造2階建ての洋風建築物57年まで道の施設として使用され、85年に道の有形文化財に指定された91年の火災で内部を焼失し、94年に復元工事が完了95年度から、1階を元町観光案内所、2階を写真歴史館として活用函館国際観光コンベンション協会が指定管理者として運営している
市観光部によると、歴史館の収蔵資料は寄贈品を含めて1000点を超えるペリー来航時に松前藩士を写した国の重要文化財で、現在は市立函館博物館収蔵の「銀板写真」(複製)と被写体の石塚官蔵が着用したかみしも、北海道開拓の様子を数多く残した田本研造がかかわった写真、さまざまな機材など、幕末開港期に始まる函館の写真文化を知ることができる
開設初年度の95年度には1万9655人が入館したが、近年は減少が続いた昨年度は観光案内所利用者の6万4442人に対し、同館は7501人にとどまった年間約850万円の指定管理料に対して、収入が少なく、昨年度は約789万円の赤字だった同協会の指定管理期間は17年度末までの約2年間残っているが、財政上も運営継続が難しいと判断した
建物は12月下旬まで、外観の修繕工事中定例市議会で条例廃止案が可決されれば、3月末で閉鎖4月以降は元町観光案内所のみ継続し、2階部分は当面、資料の保管場所とする同部は「民間への貸し出しなど、資料の活用方法を考えていく」としている(今井正一)