3・11。あの大惨事から5年。まだ2500人超が行方不明。原発事故と地震
津波被災への悲しみ、苦しみ、怒りが募る。先日、復興のシンボルとして宮城県石巻市に貸与された、旧国立競技場の聖火台に火がともった▼聖火台点火の演出は、五輪開会式の見せ場。バルセロナ五輪では夜空に放った火の矢による点火。アトランタ五輪では、元プロボクサーのモハメド・アリさんが病に震える手でトーチを受け取って点火した▼長野五輪でも伊藤みどりさんが和の装束で火をともしたシーンが感動的だった。石巻の運動公園に設置された東京五輪の聖火台は、アテネ五輪で金メダルの室伏広治さんと地元の少年団60人が一緒に、ごま油で磨き上げた▼東北大の研究チームも再生可能エネルギーのバイオメタンガスを使って初の検証実験を行い、赤い炎が5分間ともった。「東日本大震災を忘れず、鎮魂の思い」を込めて▼多くのランナーが平和を訴えてリレーする聖火。旧競技場の聖火台は戦後の復興を勇気づけた。4年後の東京五輪の願いは被災地の復興。先の本欄でも触れたが、新競技場の聖火台の設置場所はまだ決まっていない。国際五輪委員会は観客から見える舞台の設置を求めている。(M)