臥牛山1月13日・デビッド・ボウイの死
10日に飛び込んできたデビッド・ボウイの訃報は大きな衝撃だった。8日が69歳の誕生日で、同じ日に新アルバムを発表したばかりだったので、いまだに信じられない▼筆者とボウイとの出会いは中学生時代で、クイーンとのコラボレーション「アンダー・プレッシャー」が初めて聞いた曲だった。名前は知っていたが歌声を聞いたことはなく、「なんだかしゃがれて、もそもそしたボーカルだな」と、失礼な第一印象を持った▼しかし冷静に聞き直してみると、フレディ・マーキュリーのパワフルな歌声にまったく引けを取らない存在感があることに気付き「この圧倒的なカリスマ性はどこから生まれてくるのだろう」と不思議だった▼その後、1970年代の名作「ジギー・スターダスト」「アラジン・セイン」を聞き込み、彼が単に音楽だけではなく文学や演劇、ファッションなどを取り込んだ総合的なエンターテインメントを目指していることに驚かされた▼近年は激しいスタイル変化に批判を浴びることもあったが、遺作となった最後のアルバムは、原点に戻り音楽と向き合った素晴らしい作品。これが集大成になることを分かっていたと思うと胸が熱くなる。心から冥福を祈りたい。(U)