【札幌】総務省やJR北海道などは28日、札幌市内で会見を開き、北海道新幹線が通る青函トンネルの全区間(約54キロ)で、携帯電話サービスが利用できるようにする整備事業に着手すると発表した。青函トンネル内にアンテナや光ケーブルを敷設し、2019年3月下旬から全区間で通話やインターネット通信が可能になる見通し。
現在、青函トンネル内は吉岡定点(福島町)と竜飛定点(青森県外ヶ浜町)の避難場所以外に通信可能な場所がなく、北海道新幹線の利用客はほとんどの区間で通話・通信サービスを利用することができない。
今回の整備事業は、直近10年間に継続して営業損失が発生している鉄道事業者が、トンネルなど電波が遮へいされている場所に通信施設を整備する場合、鉄道事業者の費用負担を求めない制度を適用。総事業費は約34億円で、携帯電話会社などでつくる公益社団法人・移動通信基盤整備協会が約20億円、国が約14億円を負担する。この制度の適用は全国で初めて。
総務省北海道総合通信局の藤本昌彦局長は「本事業により、北海道新幹線を利用する観光客や出張者の利便性、安全性の向上が図られるとともに、北海道の観光や経済への好影響が期待される」と述べた。
JR北海道の島田修社長は「事業費負担の免除など特段の配慮をいただき工事に着手できる運びとなった。少しでも早い携帯エリア化を目指して工事を進めていきたい」と語った。(金子真人、鳥越裕子)