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PRODUCT HISTORY/『箱館醸蔵』郷宝

待望の新銘柄「郷宝」が誕生 地域を盛り上げる起爆剤に

一年を通じた四季醸造 搾りたての日本酒を提供
日本酒の酒造元として35年ぶり、蔵元としては84年ぶりに道南地域に生まれた「箱館醸蔵有限会社」。事業主体は100年以上の歴史を持つ七飯町の酒販店「冨𠩤商店」。杜氏に留萌管内増毛町の「国稀酒造」で杜氏兼製造部長を務めた東谷浩樹さんを迎え、JR大中山駅前に建築した酒蔵で2021年2月に日本酒の製造を開始し、新銘柄「郷宝」が誕生した。地元契約農家が生産した酒造好適米「吟風」「彗星」「きたしずく」を季節や天候に左右されるコメの状態を加味して精査し、純米酒、吟醸酒、大吟醸と仕込む種類に合わせて精米歩合を調整。洗米、浸漬、発酵を促す酒母作りなどの仕込み水には横津岳の良質な伏流水を使い、程良い酸味が品の良い旨味を引き立てて後味すっきり、料理にも合わせやすい淡麗旨口の酒を造り出す。年間通じて出荷量が調整可能な四季醸造を採用し、夏季は特別純米酒や純米酒を、冬季の寒い時期に純米大吟醸、純米吟醸を製造していく方針だ。「冨𠩤商店」や道の駅「なないろ・ななえ」、函館市内の百貨店、酒販店で販売し、酒蔵に併設した直売所では蔵限定ラベルも用意している。

酒造復活プロジェクトに全国からも応援が届く
酒販店として日本酒に携わり、過去に道外の酒蔵で酒造りを学んだことのある冨𠩤節子社長は、「旅行に行けば、郷土料理や名物料理に合う、その土地の水と米が作り出す地酒がある。道南には山海の美味が豊富にあるのに、それに合わせる地酒がないのがずっと寂しかった」と話す。栽培が困難だった道南地区にも近年、酒造好適米が生まれ、酒造りができる環境が少しずつ整ってくると「自分たちの手で地酒を作り出そう」と心を決め、開業へ向け走り出した。新規発行が原則認められていない清酒製造免許の取得が、一番の難関だったが、酒造事業から撤退を考えていた岡山県内の酒造会社から事業を継承してクリア。その熱意に応えたいと酒造りに知見の深い東谷さんが立ち上げメンバー入りすると、動きは一気に加速した。冨𠩤社長は「商店のお客様にも、酒米の作付けのお願いに行った米農家さんにも励まされた。本当にありがたかったです」と笑顔を見せる。プロジェクトが各マスメディアで取り上げられると注目度が高まり、資金を募るクラウドファンディングでは、瞬く間に目標額を達成した。

この先100年を見据えた酒造りに燃える
「郷宝」の発売は、コロナ禍で暗いムードが漂っていた道南地域に明るい空気をもたらした。昨今の日本酒ブームも追い風に地元盛り上げの一助になればと、日本酒を搾った時に出る酒粕は道南の企業や和洋菓子店、飲食店に無償提供。「郷宝」の風味を生かした商品やメニューが次々と発表されている。酒米を精米した時に出る米粉は七飯町内の学校給食に使用してもらうなど、大量に生まれる副産物で地域還元も図る。これから冬に向けては「きたしずく」を使う大吟醸の仕込み準備、また道産ブランド米「ふっくりんこ」での試験醸造と歩みは止まらない。特色ある酒造りに何よりも欠かせないのは、杜氏の知識と長年の経験に裏打ちされた勘。だが杜氏が変われば味が変わってしまうのも、小規模な酒蔵が抱える大きな問題だ。それを補おうと東谷さんは、勘に頼っていた発酵温度やもろみの微細な分析値データをAIで可視化し、小規模の酒蔵でも高品質の酒を安定的に生産するノウハウを公立はこだて未来大学や企業と連携し模索。未来も視野に入れた挑戦が続く。

箱館醸蔵有限会社
七飯町大中山1‐2‐3 
☎0138‐65‐5599
直売所10:00~16:00 
土・日曜、祝日のみ営業 
P有り
http://gohhou.jp/

ハコラク2021年10月号掲載







郷宝
箱館醸蔵有限会社 代表取締役 蔵元 冨𠩤節子さん
製造風景
箱館醸蔵外観

      PRODUCT HISTORY











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