道総研函館水試は、ガゴメコンブの促成養殖技術をほぼ確立した。促成養殖試験に取り組む函館市内4カ所のうち、日浦町での今季の結果で歩留まり率が良く、実に厚みもあって天然に引けを取らない品質を備えていることが分かった。通常の1年養殖、2年養殖の〝欠点〟を補う技術で、天然に代わる新たな収入源となることが期待される。
市からの受託研究(2018~20年度)の一環で、不漁が続く天然コンブに代わる新たな収入源となる養殖産業を創出するのが狙い。浜では近年、天然の資源がほぼ皆無の状態で、促成養殖ガゴメへの期待が高まっている。
養殖試験は、漁業者の協力を得て17年度から大船町、18年度から日浦町、19年度から小安町と浜町で取り組んでいる。特に成長が良好だった日浦町では昨年10月下旬に種苗を沖出し、今年7月末~8月末に収穫(養殖期間は約10カ月)。長いもので3メートル近くまで育った個体もあったほか、歩留まりは8月に収穫したもので最高19・6%と通常の養殖ガゴメ(10~12%)に比べ良かった。
促成ガゴメは既存の1年養殖、2年養殖とは異なり、時間を掛けず、品質も高い個体を育成する方法。2年養殖に比べ台風被害などのリスクも低くなる。
ガゴメもマコンブやミツイシコンブのように促成養殖技術が開発されると、生産効率が上がり、取り組む漁業者数も増え、生産の安定化が期待できそうだ。
同水試の前田高志研究主任は「天然コンブの収入源を補うことができ、ガゴメはマコンブよりサイズが小さいので製品化しやすいなど労力的にも高齢者に向く」と話す。来季について「間引き時期や最適な株密度、施設深度などを調査し、収量増や品質向上につなげたい」と意気込んでいる。(山崎大和)