太平洋戦争中に恵山岬沖に沈んだ米海軍潜水艦アルバコアの探索プロジェクトは2日目の26日、遠隔操縦式潜水機(ROV)を投入。探索中、ケーブルが海中で絡まるトラブルに見舞われたが、潜望鏡や艦橋部分とみられる潜水艦の特徴を捉え、調査チームはアルバコアと断定した。
一般社団法人ラ・プロンジェ深海工学会(長崎県五島市)の浦環代表理事(73)=東京大学名誉教授=のグループによる調査。インターネット動画のニコニコ生放送で中継した。
同日も早朝から母船と支援船となる漁船2隻態勢で椴法華港を出港。25日のマルチビームソナー(MBES)による調査で物体を確認した周辺で午前9時半過ぎにROVを投入、同10時50分ごろにカメラが沈没する艦の一部を捉えた。
同時に船とROVを結ぶケーブルが絡まり、狭い範囲しか動かせない状況が午後2時50分過ぎまで続いた。ネット中継の視聴者も緊迫した状況を固唾をのんで見守り、脱出時には多くのコメントが画面を埋め尽くし、喜びを共有した。
このため、沈没艦の全体像は捉えきれなかったが、艦橋周辺や潜望鏡部分とみられる形状を確認。艦首、艦尾周辺は何らかの原因で失われ、艦橋部分を中心に前後約47メートルが残存しているといい、右舷側に10度ほど傾いた状態で沈没していたという。浦代表理事は「ブリッジ(艦橋)周辺の特徴から沈んでいるのはアルバコアに間違いない」と述べた。
一方、艦には漁業用とみられるロープが複雑に絡まっていたほか、イソギンチャクなどの生物に覆われ、米海軍兵85人が眠る海底の墓標は77年半という歳月をしのばせた。浦代表理事は同艦の遺族や関係団体を通じて発見を報告する。
浦代表理事は「そこに沈んでいるのが分かっているのに、どうして今まで誰も調査してこなかったのか。アルバコアは一例で、(日本側艦船の沈没事例も)たくさんある。我々の新しい技術で分かることも、技術があることを皆さんに知ってもらいたい」と強調した。
調査グループは8月下旬に大型のROVを使った再調査を計画している。(今井正一)