放っておくと怖い骨粗鬆症
骨は骨芽細胞により新しい骨が作られ、破骨細胞により古い骨が吸収されており、大人1人分の骨は2年半ですっかり入れ替わるくらいの新陳代謝をしていると言われています。しかし、このバランスが崩れて、一生懸命骨を作っても、骨を吸収する細胞が吸収し過ぎて段々減るというのが骨粗鬆症です。
日本には骨粗鬆症の患者は1300万人ほどと推定されていますが、治療を受けている方はその内200万人ほどと言われており、「自分は骨折したことがないから、骨が丈夫」といった根拠のない自信はとても危険です。
骨粗鬆症は圧倒的に女性が多く、50代では10人に1人、70代以上は2人に1人は骨粗鬆症と言われています。ですが、男性も更年期となる70歳以上は要注意です。
骨粗鬆症になり骨がもろくなると、布団の上げ下げで背骨を骨折、転んで股関節を骨折するなど、骨折により寝たきりになる危険性が急激に高まります。
骨粗鬆症の治療は栄養、運動、薬剤が重要です。栄養については皆さんご存知カルシウムが重要ですが、このカルシウムを体内に定着させるために必要なのがビタミンDです。ビタミンDは食物や日光浴で摂取できますが、摂取量を考えると薬として内服する必要があります。次に運動についてですが、ウォーキングとジャンプ運動が効果的です。ジャンプ運動は1日10回程度、両足で軽く跳ねるだけでも結構です。最後に薬剤ですが、骨を丈夫にするために足りない栄養を補う薬、骨が吸収されてなくなるのを防ぐ薬、骨を作る薬があります。いずれの薬も用法用量を守って継続して内服することが大切です。
骨粗鬆症の治療で重要なのは、骨折する前の段階です。ぜひとも一度、骨粗鬆症の検査を受けてみて下さい。
(ハコラク 2018年12月号掲載)
略歴
平成6年、旭川医科大学医学部卒業後、旭川医科大学附属病院、釧路東北海道病院、北見赤十字病院勤務を経て、平成11年、函館中央病院整形外科医長、平成22年に同院整形外科科長就任、平成28年、同院診療部長に就任し現在に至る。日本整形外科学会整形外科専門医。専門分野は脊椎外科。
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